容器包装の基礎知識

「包装とは何か」から、材料・容器形態・加工・品質までを、一次情報(JIS・業界団体・規格)に基づいて体系的にまとめた土台のページです。

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1. 包装とは(定義・機能・階層)

JISによる「包装」の定義

包装の用語は JIS Z 0108:2012「包装―用語」で定義されています。まず「包装」そのものの定義(番号1001)から。

物品の輸送,保管,取引,使用などに当たって,その価値及び状態を維持するための適切な材料,容器,それらに物品を収納する作業並びにそれらを施す技術又は施した状態
— JIS Z 0108:2012 番号1001「包装(packaging)」

つまり包装とは、単なる「入れ物」ではなく、価値と状態を維持するための材料・容器・作業・技術・状態の総称です。

包装の機能

包装が提供する機能は、JIS Z 0130-1:2015(ISO 18601:2013)「包装の環境配慮―第1部:一般的要求事項」で体系化されています(日本包装技術協会の解説より)。

機能具体例
収納使用できる量の製品の収納
保護シェルフライフ(保存期間)の延長/破損防止(機械的・物理的外力からの保護)/異物混入・不正改造・窃盗の防止/バリアの提供
荷扱い・輸送売場での陳列性/消費・小売・輸送単位への配慮/生産者から使用者への輸送
保管倉庫・集積所・小売店での安全な保管
利便性小分け/使用性を考えた準備と提供方法
情報製品説明・使用法・法定情報・成分・保存法・開封手引・識別・宣伝/ブランド名・安全注意
説明製品・ブランドの識別/特徴・便益・特性の周知
💡 よく使う「4機能」との関係
実務では保護/取扱い利便/情報伝達/販売促進の4区分で語られることが多いですが、これは上記JISの7区分を要約した見方です(「販売促進」は上表の「情報」内の宣伝・ブランド名、「説明」内のブランド識別・便益に相当)。

出典:JIS Z 0108:2012(本文)日本包装技術協会「包装概論」(JIS Z 0130-1 第1表を引用)

個装・内装・外装(一次/二次/三次包装)

包装は役割で3階層に分けられます。いずれも JIS Z 0108:2012 の定義です(かっこ内はJIS番号・別名)。

階層JIS用語(別名)定義(JIS原文の要旨)
一次包装個装
(基本包装・単位包装・一次包装/1003)
物品個々の包装。商品価値を高める、または物品個々を保護するための材料・容器・技術・状態缶、ガラスびん、紙カートン、パウチ
二次包装内装
(1004)
包装貨物の内部の包装。物品に対する水・湿気・光・熱・衝撃などを考慮した材料・容器個装をまとめた化粧箱・多包装
三次包装外装
(二次包装/1005)
包装貨物の外部の包装。箱・袋・たる・缶などに入れ/結束し、記号・荷印を施す段ボール箱、プラコンテナ

※JISは「個装=一次包装」「外装=二次包装」を別名として併記します。一般に用いる「一次/二次/三次」は個装/内装/外装に対応させた整理です。すべての商品が3階層を持つとは限りません(個装が外装を兼ねる場合もある)。

包装の3階層:個装・内装・外装
包装の3階層(個装=一次/内装=二次/外装=三次)の関係。
出典:区分の定義は JIS Z 0108:2012(図は同規格の定義に基づき作成)。

出典:JIS Z 0108:2012(番号1003/1004/1005)

工業包装と商業包装

目的による区分も JIS Z 0108 が定義しています。

用語(JIS番号)定義の要旨主目的
工業包装(1006)物品を中間業者に配送・保管することを主目的として施す包装流通での保護・配送効率
商業包装(1007)商品の一部として、または商品をまとめて扱うために、商取引の各レベルに合わせて施す包装商品価値・販売・訴求
輸送包装(配送包装/1008)輸送を目的として施す包装。こん包(梱包)と呼ぶこともある輸送
消費者包装(生活者包装・小売包装・販売包装/1009)消費者の手元に渡るために施す包装消費者への到達

出典:JIS Z 0108:2012(番号1006〜1009)

適正包装

省資源,省エネルギー及び廃棄物処理性を考慮し,合理的で,かつ,公正な包装
— JIS Z 0108:2012 番号1023「適正包装」

過剰でも不足でもなく、必要十分な保護を最小資源で実現する考え方です。過大・過剰包装の目安として空間容積率(空隙率)20%以下・包装経費率15%以下がよく用いられますが、これはJISの定義ではなく、紙製容器包装リサイクル推進協議会のガイドラインや自治体基準(神戸市・大阪市等は15%)に基づく数値です。

⚠ 「適正包装7原則」の出典
「内容物保護・容器の安全・内容量・表示・空間容積・包装費・省資源」の7原則は、多くの資料で1972年 通商産業省(当時)を出典としますが、原典(一次情報)は本ページでは未確認。掲載時は「通産省(当時)1972年とされる/原典要確認」と扱うのが安全です。

出典:JIS Z 0108:2012(番号1023)/数値基準:過剰・過大・適正包装の基準の出典整理

2. 材料の基礎

容器包装の主材料は「プラスチック・紙/板紙・金属・ガラス」の4系統。単独または複合材として使います。

プラスチック

軽量・成形自由・低コストで最も多用される材料。包装形態ではPETボトル・成形容器・軟包装フィルムなど多様に使われます。まず素材(樹脂)の性質から見ていきます。

樹脂の分類

樹脂はまず熱可塑性熱硬化性に大別され、包装で使うのはほぼ熱可塑性です。熱可塑性はさらに分子構造で結晶性/非晶性に分かれ、これが透明性・耐熱・耐薬品性を左右します。

大分類特徴
熱可塑性樹脂
(加熱で軟化・再成形可/包装の大半)
結晶性樹脂分子が規則的に並ぶ部分をもつ。やや不透明・耐薬品・明確な融点(Tm)をもつPE, PP, PET, PA
非晶性樹脂分子がランダム。透明・寸法安定・明確な融点をもたずガラス転移(Tg)で徐々に軟化PS, PVC, PC
熱硬化性樹脂硬化すると再加熱で軟化しない(架橋構造)。包装では稀フェノール, メラミン

※さらに熱可塑性樹脂は耐熱性で呼び分けられます:汎用プラスチック(〜100℃程度:PE・PP・PVC・PS・PET・ABS)/エンジニアリングプラ(100℃以上:PC・PA・PBT)/スーパーエンプラ(150℃以上:PPS・PEEK。包装では稀)。この「汎用/エンプラ」は分類軸ではなく耐熱性による通称です。

出典:日本プラスチック工業連盟

樹脂識別コード(RIC)1〜7

容器包装のプラには識別コードが付きます。根拠規格はASTM D7611(旧・米国SPIコード、1988年策定→2008年以降ASTMが管理)。2013年の改訂でマークは「追いかけ矢印」から中実の三角形に変更され、「リサイクル可能」を意味せず“素材の識別”を示すものと明確化されました。

コード略号樹脂名主な特性主な包装用途
1PETポリエチレンテレフタレート透明・強度・ガスバリア良飲料ボトル、食品トレー、フィルム基材
2HDPE高密度ポリエチレン硬い・耐薬品・耐水洗剤/シャンプーボトル、レジ袋、キャップ
3PVCポリ塩化ビニル透明・可塑剤で軟質化可ブリスター、シュリンク
4LDPE低密度ポリエチレン柔軟・シール性良ラップ、ポリ袋、内層シーラント
5PPポリプロピレン軽量・耐熱良・耐薬品食品容器、フタ、フィルム、レトルト外層
6PSポリスチレン剛性・透明(GPPS)/発泡(EPS)食品トレー、カップ、緩衝材
7OTHERその他(PC・PLA・ABS等)上記以外・複合材給水ボトル(PC)、環境配慮容器(PLA)
樹脂識別コード1 PET 樹脂識別コード2 PE-HD(HDPE) 樹脂識別コード3 PVC(V) 樹脂識別コード4 PE-LD(LDPE) 樹脂識別コード5 PP 樹脂識別コード6 PS 樹脂識別コード7 OTHER(O)
樹脂識別コード(RIC)1〜7の識別記号(2013年改訂の中実三角形)。出典:Wikimedia Commons “Symbol Resin Code” シリーズ(CC0 1.0 パブリックドメイン/出典表示は任意)。規格の一次情報は ASTM D7611
⚠ 密度・耐熱の数値について
樹脂の密度・融点・耐熱温度の代表値は、一次情報(JIS/ISO材料規格・メーカーデータシート)での確定が本ページでは未完了で、かつグレードで幅があります。設計時は必ず各材料のデータシートで確認してください(本表では数値を断定せず特性・用途のみ記載)。

日本の識別表示マーク(プラマーク/PETボトルマーク)

日本では資源有効利用促進法(2001年施行)により、プラスチック製容器包装への識別表示が義務化されています(所管:経済産業省)。分別排出・分別収集の促進が目的で、こちらも「リサイクル可能」を示すものではありません。

  • プラマーク:飲料・酒類・特定調味料用PETボトルを除くプラスチック製容器包装が対象。
  • PETボトル識別表示マーク:指定PETボトル(飲料・酒類・特定調味料用)が対象。

識別表示マーク(プラマーク/PETボトルマーク)の図柄は、公式ページを参照してください:プラマーク(PPRC)PETボトル識別表示マーク。(マーク図柄は各団体の規定に従う必要があるため本サイトには転載していません)

その他の主な包装用樹脂・バリア材(識別コードでは主に「7 その他」)

RICの1〜6以外にも、包装では多くの樹脂が使われます。特にEVOH・ナイロン(PA)・PVDCは、単体容器よりも多層フィルムのバリア層として重要です。

略号名称主な特性主な包装用途
EVOHエチレン・ビニルアルコール共重合体乾燥時に極めて高い酸素バリア。高湿で性能低下多層フィルムの酸素バリア中間層(要冷/レトルト食品等)
PA(NY)ポリアミド(ナイロン)酸素バリア・耐ピンホール・耐突き刺し・強靭。吸湿で酸素バリア低下真空・ボイル・冷凍食品(ONy=二軸延伸ナイロン)
PVDCポリ塩化ビニリデン酸素・水蒸気の両方に高バリア(両立する材料は希少)。塩素含有コート/フィルム、ハム・チーズ・レトルト
PVOH(PVA)ポリビニルアルコール高い酸素バリア(乾燥時)・水溶性バリアコート、水溶性包装
PCポリカーボネート高透明・耐熱・耐衝撃給水ボトル、耐熱容器
PLAポリ乳酸植物由来・生分解性環境配慮の容器・フィルム・トレー
EVAエチレン・酢酸ビニル共重合体柔軟・低温シール性シーラント層、ストレッチフィルム
ABSアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン剛性・耐衝撃・成形性化粧品コンパクト等の成形容器
PMMAアクリル樹脂(メタクリル)高透明・光沢・耐候化粧品容器・ディスプレイ

※上表の特性は業界一般の整理です。バリア性能の数値(OTR=酸素透過度/WVTR=水蒸気透過度)は設計者ガイドのバリア早見表を参照(グレード・測定条件で変動)。EVOH・PAは吸湿すると酸素バリアが下がるため、PE/PP等の防湿層と組み合わせて多層で使うのが基本です。

出典:日本プラスチック工業連盟ASTM D7611(RIC)解説ASTM「Resin ID Code Revised」プラ容器包装リサイクル推進協議会

軟包装フィルムの層構成(表基材・バリア・シーラント)

プラスチック包装は形態でみると PETボトル・成形容器(トレー等)・軟包装フィルム に大別できます。このうち軟包装フィルムは、複数のフィルムを貼り合わせた層構造(ラミネート)が一般的で、各層に役割があります。同じ樹脂でも層ごとに使い分けます。

役割よく使う樹脂・材料
表基材(おもて)印刷面・強度・耐熱・光沢PET, ONy(二軸延伸ナイロン), OPP
バリア層(中間)酸素・水分・光・香気を遮断EVOH, PVDC, アルミ箔/蒸着, 透明蒸着(SiOx/AlOx)
シーラント層(内側)熱で溶着して密封するLDPE/LLDPE, CPP

例:PET / アルミ箔 / PE(表基材PET・バリア箔・PEシーラント)はレトルト等の代表構成。単一素材化(モノマテリアル)の動向は深掘りページ、バリア数値(OTR/WVTR)は設計者ガイドを参照。

紙・板紙・段ボール

再生可能・印刷適性・剛性・脱プラ対応で伸びる材料。厚手のものを「板紙」と呼び、容器・箱に使います(紙は「紙」と「板紙」に区分。板紙は①段ボール原紙 ②紙器用板紙 ③その他の3分類:日本製紙連合会)。

段ボールの構造とフルート(段)

段ボールはライナ(表裏の紙)+中しん(波形の紙)で構成。中しんの波=フルートの高さで緩衝性・印刷適性が変わります。JISに規定されるのはA・B・Cの3種で、E以降は業界慣用です。

フルート段の高さ主用途
A4.5〜4.8mm外装用(最も厚く緩衝性◎)
C3.5〜3.8mm外装用(A・Bの中間、海外で普及)
B2.5〜2.8mm外装・内装用(薄く形状保持◎)
E1.10〜1.15mm個装・内装用(印刷美麗)
F0.60〜0.75mm薄物・高級パッケージ
G0.50〜0.55mm微細フルート(厚紙に近い)
両面段ボールの構造:表ライナー・中しん(中芯)・裏ライナー
段ボールは2枚のライナー(表・裏の平らな紙)で中しん(中芯=波形の紙)を挟んだ構造。中しんの波=「段(フルート)」で、この段が緩衝性を生む。
出典:構造・寸法の一次情報は全国段ボール工業組合連合会「段ボールの種類」(図は同会情報に基づき作成)。

段ボールの材質構成(表記)

段ボールの仕様は「段(フルート)+表ライナ/中しん/裏ライナ」で表します。ライナと中しんは種類坪量(1㎡あたりの紙の重さ, g/㎡)で等級が決まります。

ライナ(表裏の紙)
種類(記号)内容古紙含有率(目安)坪量の等級(代表・g/㎡)
K(クラフトライナ)表層にバージンクラフトパルプ。強度が高い約50%以上K5=180 / K6=210 / K7=280
C(ジュートライナ)主に古紙。Kより安価約90%以上C5=170 / C6=210
D(ジュートライナ)下位グレード100%D4 など

古紙率は「文字(D/C/K)」で表れます(「記号が古紙率を示す」という理解はこの文字種のこと)。数字(5・6・7)は坪量を表し、尺貫法「匁(もんめ)」の名残です。

中しん(中芯・波形の紙)
種類記号坪量の等級(代表・g/㎡)
普通中芯(セミケミカルパルプ)SCP(S)120(一般)/160
強化中芯(強化剤を配合)P180 / 200(大きいほど高強度)
💡 表記の読み方(例)
「A段 K280/SCP120/K280」= A段・表裏ライナはクラフト280g/㎡・中しんは普通中芯120g/㎡。
坪量が大きいほど/Kライナ・強化中芯ほど強度が高い(その分 重く・高価)。旧来は K5・K6・K7 等の「匁(もんめ)記号」で呼ぶこともあり、K5≒180・K6≒210・K7≒280 g/㎡ に対応(対応坪量は代表値=要確認)。
⚠ 業界慣用と正式区分(JIS)の違い
D4・C5・K5 等は業界慣用の呼称です(文字=種類、数字=坪量=尺貫法「匁」1匁=3.75gの名残)。正式規格では、ライナは JIS P 3902(LA・LB・LC の3級/強度で区分)、中しんは JIS P 3904(MA・MB・MC の3級)で規定され、表示坪量で表します(K/C/Dや古紙率は規格本文には規定されていません)。
🌍 参考:国際的な等級表記
海外ではライナを Kraftliner(バージンパルプ主体=日本のKに近い)Testliner(再生繊維主体=C・Dに近い)と呼びます。Testliner の T1〜T4 は「強度等級」(破裂・圧縮の閾値)で、再生率%そのものではありません。欧州 CEPI は等級を2桁数字コードで管理します。日本記号と国際等級の概念的対応は明確ですが、一次規格レベルの1対1公式対応表は確認できていません。

出典:JIS P 3902:2011全国段ボール工業組合連合会/国際等級:CEPI ContainerBoard 段ボール原紙等級一覧/古紙率・呼称は業界解説(代表値)。

板紙の種類

板紙は用途で①段ボール原紙 ②紙器用板紙(菓子箱など)③その他(ラップ芯・石こうボード原紙等)に分かれます。さらに白板紙・コートボール等の細分類がありますが、これらの細分類・用途は日本製紙連合会の当該ページには明示がなく、本ページでは一次情報未確認です(掲載時は板紙のJIS区分等で裏取り推奨)。細分類は要確認

紙・段ボールのリサイクル(最新データ)

指標数値年度出典
段ボール回収率97.8%2024年度段ボールリサイクル協議会(第4次自主行動計画)
古紙利用率(紙全体)66.6%2024年度日本製紙連合会
古紙回収率(紙全体)81.7%2024年度日本製紙連合会
板紙の古紙利用率93%超2024年度日本製紙連合会

※「段ボール回収率97.8%」と「古紙回収率81.7%」は対象範囲が異なります(段ボールは古紙品種の中で特に高回収)。混同に注意。

出典:全国段ボール工業組合連合会段ボールリサイクル協議会日本製紙連合会(古紙)

金属

光・酸素・水分を完全遮断する高バリア、強度・耐熱・リサイクル性に優れます。缶は部品数で2種に大別されます。

分類構造・製法特徴・用途
3ピース缶蓋・胴・底の3部品。1枚の鋼板を筒状に丸め接合(現在は溶接が主流)強度があり加圧殺菌に耐える。食料缶、ミルク入りコーヒー飲料など
2ピース缶底と胴が一体の「胴部」+「蓋」の2部品継目なし・軽量。加工法でDR缶/DI缶/TULCに分かれる
DI缶(絞りしごき)絞り(Drawing)後、しごき(Ironing)で側壁を約0.1mmまで延伸した2ピース缶軽量。ビール・炭酸飲料。1971年〜日本普及
TULCTFS鋼板の内外面にPETフィルムをラミネートし成形。製缶に潤滑・冷却剤が不要(洗浄・廃水・内面塗装なし)環境保全性が特徴(東洋製罐)
ラミネート缶鋼板にフィルムを積層した材料を用いる缶(TULC等)内面塗装レス・高い保香性

素材差:アルミ缶=軽量で陽圧(炭酸・ビール等、内圧で強度を保つ)向き/スチール缶=強度が高く陰圧(ミルク入り飲料等)・3ピース缶向き。

材質リサイクル率年度補足
アルミ缶99.8%2024年度過去最高水準。年度で変動するため最新値は協会公表で確認
スチール缶94.4%2024年度自主行動計画目標(93%以上)を達成
⚠ 年度に注意
リサイクル率は年度で変動します。並べる際は年度を必ず併記し、最新値は各協会の公表資料で確認してください。
2ピース缶と3ピース缶の構造の違い
2ピース缶(胴+底が一体+蓋)と3ピース缶(蓋+胴+底、胴に側面継目)の違い。
出典:構造の一次情報は 日本製缶協会東洋製罐(図は同情報に基づき作成)。

出典:日本製缶協会東洋製罐(TULC)アルミ缶リサイクル協会スチール缶リサイクル協会

ガラス

ガラスびんはソーダ石灰ガラスが最も一般的で、主成分は二酸化けい素(SiO₂)・酸化ナトリウム(Na₂O)・酸化カルシウム(CaO)(日本ガラスびん協会)。主原料は珪砂・ソーダ灰・石灰石。透明・高い化学的安定性(中身に影響しにくい)・ガス非透過・繰返し使用/リサイクル可が長所、重い・割れるが短所です。

  • 組成の数値幅:一般に SiO₂ 約65〜75%、Na₂O 約10〜20%、CaO 約5〜15%程度とされますが、具体的パーセンテージは一次PDFの直接確認が未完了=要確認。協会一次で確実なのは「主成分=SiO₂・Na₂O・CaOの3種」まで。組成%は要確認
  • 色と遮光:遮光性は無色<緑<茶(アンバー)の順で、茶びんが最も優れ、光で劣化しやすい内容物(ビール・栄養ドリンク等)に多用(出典はガラスびんメーカー情報)。
  • リサイクル(ガラスびん3R促進協議会):リサイクル率 約70%/びん to びん率 約80%/カレット(再生原料)利用率 概ね75%(いずれも概数表記で確定年度値は明記なし=年度は要確認)。リターナブルびん=洗って繰返し使用、ワンウェイびん=粉砕してカレット化。

出典:日本ガラスびん協会(定義・主成分)ガラスびん3R促進協議会(リサイクル)/色と遮光:ガラスびんメーカー情報

ガラスびんの色(無色・緑・茶)と遮光性
ガラスびんの色と遮光性(無色<緑<茶の順に遮光性が高い)。
出典:色と遮光の関係はガラスびんメーカー情報に基づき作成(図は自作)。

材料の使い分け(早見)

材料バリア強度/耐熱透明重さリサイクル向く用途
プラ(軟包装)設計で可変耐熱は種類次第軽い種類・構成次第軽量・多様な形、食品〜日用品
紙・板紙単体では低い剛性◯/耐水低不可軽い◎(回収率高い)箱、脱プラ、印刷訴求
金属◎(完全遮断)不可長期保存、飲料・食品缶
ガラス耐熱◯/割れる重い◎(びんtoびん)高級・中身非干渉、酒・調味料・化粧品

3. 容器形態の体系

同じ材料でも「形態」で用途・機能が変わります。

形態主材料特徴主用途
ボトルPET・HDPE・ガラス液体保持・再封性・自立飲料、調味料、洗剤、化粧品
パウチ(袋)軟包装フィルム軽量・省資源・形自由。スタンド/スパウト/レトルト食品、レトルト、詰替え、飲料
カートン(紙箱)板紙印刷面広い・組立て・陳列性菓子、医薬、化粧品、冷凍食品
液体用紙容器紙+PEラミ(+Al)軽量・充填ライン適合牛乳、ジュース、酒
アルミ・スチール高バリア・強度・長期保存飲料、食品、エアゾール
トレー/カップPP・PS・PET・紙・発泡盛付け・電子レンジ対応も惣菜、生鮮、乳製品、麺
チューブラミ/プラ絞り出し・再封化粧品、練り製品、医薬
ブリスター/PTPPVC・PP+Al個別密封・視認医薬(錠剤)、雑貨
キャップ/クロージャーPP・HDPE・金属密封・再封・注ぎ口ボトル閉栓全般
段ボール箱/通い箱段ボール・プラ輸送保護・積載外装・物流

4. 加工・成形・印刷の基礎

主な成形法(プラスチック容器)

成形法概要主な製品
射出成形加熱溶融した樹脂を金型へ高圧で射出し、冷却・固化。複雑・薄肉の大量生産に適するキャップ、薄肉容器、プリフォーム
押出成形溶融樹脂をダイ(口金)から連続的に押し出し、連続断面を成形フィルム、シート、パイプ、チューブ
ブロー成形中空のパリソン/プリフォームに空気を吹き込み膨らませ中空容器を成形PETボトル、HDPEボトル
真空/圧空成形加熱軟化させたシートを型に密着(真空成形)。圧空成形は空気圧も加え高精度化トレー、ブリスター、カップ

※成形法の定義は複数の技術情報源で一致する業界標準定義(例:キーエンス 樹脂成形の技術情報)。団体一次の公式定義文は別途確認推奨。

ラミネート(積層)

複数のフィルム/箔/紙を接着剤やPE等で貼り合わせ、単一素材では出せない機能(バリア・強度・シール・印刷)を1枚に持たせる技術。押出ラミネート・共押出などの製法があります。単一素材化(モノマテリアル)とリサイクル性の関係は深掘りページ参照。

主な印刷方式

方式特徴主用途
グラビア印刷凹版。高精細・大ロット向き軟包装フィルム、化粧箱
フレキソ印刷凸版・水性/UV。環境対応段ボール、紙袋、ラベル
オフセット印刷平版。高品質・紙器向き紙カートン、ラベル
デジタル印刷版不要・小ロット・可変印刷小ロット、多品種、試作

充填・シール

内容物を容器に充填し密封する工程。液体の無菌充填(アセプティック)、鮮度保持のガス置換包装(MAP)、加熱殺菌のレトルトなど、中身と保存条件で方式が決まります。

5. 品質・安全の基礎

内容物の劣化要因とバリアの基礎

軟包装フィルム等は、内容物の品質保持のため酸素・水蒸気(水分)・光・香気の透過を抑える設計をします。

劣化要因影響対応(基礎)
酸素酸化(油脂劣化・変色・栄養素減少・好気性菌)ガスバリア材(EVOH・PVDC・アルミ蒸着/箔)、脱酸素剤、ガス置換
水分(水蒸気)吸湿/乾燥、カビ・微生物、物性変化防湿バリア材、乾燥剤、密封シール
光(特に紫外線)変色・変臭・栄養素分解遮光材(茶/緑ガラス、アルミ箔、着色・印刷)
香気香りの放散・移り香で風味劣化香気バリア性の高い材料(多層フィルム等)

※アルミ箔は酸素・水蒸気・光・香気をほぼ完全に遮断でき最強。アルミ蒸着フィルムは遮光を付与しますが、完全遮光にはアルミ箔が必要。

食品接触の安全(マイグレーション)

包装から中身へ物質が移行することをマイグレーション(溶出・移行)といい、食品用は各国で規制されます(日本のポジティブリスト制度、EUの食品接触材規則、米FDA等)。使用樹脂・添加剤が規制適合か、適合証明を取れるかの確認が設計の前提です(詳細は設計者ガイドの規制解説)。

賞味期限・保存性の設計

必要な保存期間から逆算して、バリア性能・脱酸素/乾燥剤・充填方式を選びます。過剰バリアはコスト・環境負荷増、不足は品質事故につながるため「必要十分」を見極めます。

主な試験(基礎)

  • 輸送包装試験:落下・振動・圧縮(→設計者ガイドの試験規格対応表
  • バリア試験:OTR(酸素透過度)、WVTR(水蒸気透過度)
  • シール強度・密封性:ヒートシール強度、ピンホール、漏れ